参加者 先発隊‥‥5名(中澤 晃、松田 美代子、近藤義郎、八木昭大、村上吉人)
本隊‥‥17名(井上峰雄、稲本 浩、亀山正道、川合千鶴、濱島誠一朗、堀江保男、丹羽、藤原慶輔、藤原奈津子、野田和秀、井田陽子、稲本京子、加藤寿太郎、杉浦進介、金子沙恵、前澤亮子、杉山真呂依、)
2月7日(木)
先発隊5名が現地での事前準備のためセントレアを出発しました。
翌8日(金)には本隊17名が、フィリピン航空で日本を出発、定刻どおりマニラ空港に到着しました。 荷物の持込で税関の書類が不備である旨を告げられ、税金を支払って入国時しました。同じエアにフィリピ ンで医療活動(医科、眼科、歯科)を4箇所でするという長野県のライオンズクラブと一緒になりました。今 年で33回目とのことでした。到着後、一部、渉外班はコーデネーターと共にナボタスの市長に表敬訪問、後 は自由時間で時間を過ごしました。夕刻には明日への活動の詳細を説明し、班毎の仕事の内容を再確認しま した。
9日(土)
午前6時起床、7時30分コースターとバンで現地に向かいました。途中ナボタス地区から白バイのエスコ ートとなり活動時間にはショットガンを肩からかけたセキュリテーが10名ほどの警備にあたってくれまし た。UE大学の学生10名が参加し、高校の生徒の健診とパソコンを利用した口腔衛生指導の依頼を受けて体 勢を整えていた。住民の治療希望者は200名/1日のチケットを配ってあるとのことでした。
市の補助員、UEの事務アシストも進行を手伝ってくれ、開会式のセレモニーを行いました。その後、小 さな講堂(教室)のような場所を利用して活動場所で個々のセティングを手分けして行いました。レントゲン 部門は延長コードを引きトランスを入れて200Vから100Vへの準備等、また外科班の器械準備、薬の配置、 記録の回収場所、保存衛生班のユニットの設営、クリーニングの場所設定など経験者の指示の下でスムーズ に準備することができました。
9時過ぎには、患者が入り始めました。高校生の健診を受けた生徒も治療が必要な者は、老若の住民に混 じって列をなしている。口腔内の診断の後に、レントゲンが必要な患者さんにはレントゲンコーナーに、ス ケーリングが必要な者は衛生班へ、充填を必要とする者は保存コーナーへ、抜歯は抜歯コーナーへと引率者 のアシストで夫々の場所に移動しました。手馴れない者も場の状況を判断して汗を流しての活動風景となり ました。保存班も1年ぶりの器械器具の使用、慣れるまでは相当な苦労、工夫応用が必要でありました。仮 設の野戦病院をつくり臨機応変に対応していくスタイルは例年のごとくです。
年を重ねるごとに要領良くなって、小物利用など無駄が少なくなってきているようです。患者さんとのコ ミュニュケーションは四苦八苦してはいたものの、夫々、ボデーラングウエッジを交えて、患者コミュニケ ートできないようであればUEの学生、言葉の分かる者が間に入って慎重に診療を進めていきました。若い 患者の抜歯も一人が何本も希望し5~6本の時もあり、日本では考えられない診察風景です。若い先生の額に 汗がにじむ。前日からの指導で抜歯は乱暴にならぬよう注意されていたため丁寧な応対をしてくれていまし た。午後3時過ぎには270名ほどの患者番号になっていました。夕食は、バイキングスタイルのフィリピン 料理、腹一杯なるまで、反省談を語りつつ堪能しました。
10日(日) 6時起床、7時30分出発。団員はコースター2台とバンにUE5名分乗して乗り合わせました。昨日と同様 ナボタス地区から警備兵、パトカーが先導して問題なく高校に到着しました。もし誘導がなければ、両脇に 停めているトライスクルなどの車はどいてくれず渋滞をつくることになっていただろう。ビップな待遇を味 わいました。しかしながら実際には、地元の人にとっては苦々しく思っているのが本音だろう。
校長から日本の何処からか経済的援助を受けられないかとの話が出てきましたが、我々もボランテアが精 一杯の現状を伝えました。おそらく、ライオンズでの地域の活動(1000人ぐらいを対象に4箇所で行ってい ること)を知っているのだろう。コーデネーターからは、受刑者内の口腔衛生のため歯ブラシを何とかならな いかとの相談で、手持ちの歯ブラシ500本を寄付しました。現地までと言われたが、時間が裂けない現状と、 未だ刑務所のお世話にはと躊躇し遠慮しました。
UE学長デイ先生も駆けつけてきて活動状況を視察してくれました。本日は、高校生の健診は行わなかっ た。昨日に比べて診療は順調に経過していきました。時として抜歯が難抜歯にハマリ四苦八苦している先 生もいましたが、先輩の指導により問題なく抜歯を済ませることができました。抜歯のスタイルの基本を身 に付けないとうまくいかないことが多い、体験して得られる力加減のコツは教科書、頭の中だけでの抜歯で はうまくいかないのが現実です。 おそらく、抜歯の体験としての機会は良い経験になっていいますし、今 後の抜歯にも格段の自信をもって挑戦できるものと実感しました。研修の場として、今後、日本の研修生に も基本を身に付け体験できる機会ではないかと頭の中をよぎりました。
午後3時には撤収の予定ではあったが、患者さんが長蛇に並んで治療希望を求めていたので一応最後まで 診ることを告げ、2日間で計約500名の患者さんになった。未だ受診希望者が多いと推察される状況やコー デネーターの治療要望からも今後の活動場所の候補にもなろう。
一つの試みとして、患者のスタイルを水平位で行うよう、机を借り、マットを敷いて寝かせる方法を一箇 所とってみた。之は、大変、お互いが楽であることを実感しました。今後、抜歯、保存治療において、是非、 水平位の導入を主に考えて行きたいと思いました。
このボランテア活動は、決して日本では経験できない企画だと思うのは私一人だけではないだろう。地元 の住民の需要は多い地域です。口腔内疾患を個々の苦痛を味わっているので抜歯という手段が現状では最善 であること、経済的問題からも今後の予防重視も考慮しつつ地道な継続的な保健活動も必要だろう。もっと 効率的な援助は何か、地元の歯科医師会、法制度の問題、歯科医師数、地域対策、関わらねばならない分野 の指導などを痛感して帰国の途に着きました。